普通車のマニュアル免許取得が変わる!? ~R7.4.1施行の道路交通法改正~
多くの方が取得する普通車免許。
ご存じの方も多いでしょうが、普通車には二種類の免許があります。
一つは自身で走行するギアのチェンジ操作を行う『マニュアル車』(通称MT車)、
もう一つはギアチェンジを車が自動的に行ってくれる『オートマチック車』(通称AT車)です。
一般的にAT車に比べてMT車の方が、操作が複雑で取得が難しいと言われています。
近年、若者の車離れも影響している為かほとんどの方がAT免許を取得されます。
とは言いつつも、やはり「仕事でMT車に乗らなければいけない」「家にある車がMT車で、それを運転したい」「車が好きなのでMT車を運転できるようになりたい」等、MT免許取得を希望される方はいらっしゃいます。
しかし、今年の4月1日より道路交通法の法改正により、教習所におけるMT取得のためのカリキュラムが大幅に変わり、当面の間は3つのパターンの中から教習を進めるようになります。
各パターンの内容は以下の通りです。
Aパターン(新制度)
① AT車にて第一段階・第二段階併せて最短31時限の技能教習を受ける。
② MT車にて最短4時限の場内教習を受ける。
③ AT車にて路上検定+バック検定。
④ ③に合格後、MT車にて場内検定。③で不合格の場合は③を受け直し。
⑤ ④に合格後、MT免許の卒業証明書を発行。④で不合格の場合は再度③から受け直し。
⑥ MT免許の卒業証明書を持って、免許センターにて学科試験を受ける。
⑦ ⑥に合格後、MT免許を取得。
Bパターン(限定解除審査との組み合わせ)
① AT車にて第一段階・第二段階併せて最短31時限の技能教習を受ける。
② AT車にて路上検定+バック検定。
③ ②に合格後、AT免許の卒業証明書を発行。②で不合格の場合は②を受け直し。
④ MT車にて最短4時限の場内審査教習を受ける。
⑤ MT車にて場内審査。
⑥ ⑤に合格後、MTの審査合格証明書を発行。⑤で不合格の場合は⑤を受け直し。
⑦ AT免許の卒業証明書とMTの審査合格証明書を持って、免許センターにて学科試験を受ける。
⑧ ⑦に合格後、MT免許取得。
Cパターン(今まで通りのMT教習)
① MT車にて第一段階・第二段階併せて34時限の技能教習を受ける。
② MT車にて路上検定+バック検定。
③ ②に合格後、MT免許の卒業証明書を発行。②で不合格の場合は②を受け直し。
④ MT免許の卒業証明書を持って、免許センターにて学科試験を受ける。
⑤ ④に合格後、MT免許取得。
この3つの中から教習所ごとにパターンを選び、それに沿ったカリキュラムを作成するようになります。
当学院では、Cパターンの今まで通りの教習カリキュラムにて教習を進めていきます。
なぜ当学院がCパターンを選んだのか?従来の教習カリキュラムと比べて、どのようなメリット・デメリットがあるのか考えてみましょう。
Aパターン(新制度)
メリット
・特になし
デメリット
・最短教習時限数が34時限⇒35時限に増え、検定の回数も増える為、卒業日数はどんなに早くても2日延びる。
・卒業検定が今までMT(路上)のみだったのが、AT(路上)・MT(場内)各1回ずつの計2回に増える。
・教習時限や検定回数が増えることにより、料金も割増になる場合が多い。
・ATの卒業検定(路上)の合格後に実施するMTの卒業検定(場内)に不合格になるとATの卒業検定(路上)から受けなおさなければならないので、これまでよりも卒業までの日数が延びる。
・MTで実施する教習は4時限のみなので、その中で【坂道発進】【狭路の通行】【バック課題】等で必要な低速を維持するための半クラッチを十分に習得できるのか疑問がある。
・MTで路上を走ることは一切なく、教習所を問題なく卒業したとしてもいきなり仕事等で安全にMT車を運転できるのか?本当に今までと同等の技術が身につくのか?疑問がある。
Bパターン(限定解除審査との組み合わせ)
メリット(Aパターンと比較)
・万が一、MTの卒業検定(場内)に不合格になった場合も再受検はMTの卒業検定(場内)から受けなおせばよいので新制度よりは簡易。
・MTの卒業検定(場内)に不合格になるなどしてMT免許を諦めたとしても、AT免許の卒業証明書は既に持っているので、ATの免許は取得でき、新制度よりもリスクを軽減できる。
デメリット
・MTで実施する教習は4時限のみなので、その中で【坂道発進】【狭路の通行】【バック課題】等で必要な低速を維持するための半クラッチを十分に習得できるのか疑問がある。
・MTで路上を走ることは一切なく、教習所を問題なく卒業したとしてもいきなり仕事等で安全にMT車を運転できるのか?本当に今までと同等の技術が身につくのか?疑問がある。
・審査教習料等が上乗せになり、料金が割増しになる場合が多い。
Cパターン(今まで通りのMT教習)
・従来通りの教習内容となるので変更点はなく、メリット・デメリットはともに存在しない。
将来的にMT車の流通はさらに減少し、MT免許の必要性は薄れていくとは言え、今回の道路交通法改正によるパターン①やパターン②は、MT車に乗ろうと考えている方にとって『改正』とは言えなさそうです。
以上の理由から当学院では従来通りのCパターンのカリキュラムにて教習を行っていきます。
自動車学校を順調に卒業できるのか?
免許を取得してから早速安全に運転することが出来るのか?
以上のようなことを考えて、どのカリキュラムパターンの教習所に通うかの参考にしてください。